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【コラソン解説】第1節 横浜FC戦 ※無料配信

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いよいよ2018シーズンが開幕した。場所はアウェイ三ツ沢、相手は横浜FC。昨季と同じだ。当時0−1で敗れた相手に新しく生まれ変わった「NEW山雅」を見せて勝つことを、山雅サポーターの誰もが願っていたのではないだろうか。結果は0−0のスコアレスドローだった。

パワーアップした守備 光った橋内の対応

前回は一瞬の隙から失点して0−1で敗れたが、今回はイバという強烈なストライカー擁する相手に無失点。DFラインの一角に浦田、GKに守田を加えた今季の守備陣はさらなるパワーアップを感じさせてくれた。

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特にその中でも「全体を見る余裕がある」と反町監督にキャプテンマークを託された橋内のシュートブロックはチームを救っていた。35分のプレーだ。左サイドからのクロスをイバが中央で収めるとサポートにきたMF野村直輝に落とし、野村は田中をかわしてシュート。しかし、そこに橋内がシュートブロックに立ちはだかった。

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一見すると何気ないシュートブロックだったが、これは橋内の経験に基づく予測と動作が凝縮した素晴らしいプレー。これがなければフリーでシュートを打たれ、失点していてもおかしくはなかった。順を追って解説していく。

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35分、橋内が好対応でシュートブロック

まずはイバにボールが入ったとき、マークについていた飯田がかわされた場合に備えて中に絞り、飯田が強力なイバに競り負けても対応できる準備をしていた。そしてイバが野村に落としたときには、対応した田中がかわされてもカバーできるポジショニング。そしてかわされた瞬間、野村との距離を素早い寄せで2、3歩縮めてシュートコースを消し、体に当てた。

予測まではできたとしても、この2、3歩を寄せて体に当てるのは難しく誰にでもできることではないが、それがディフェンダーの価値だと僕は思っている。

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橋内は試合終了間際にもイバが抜け出した絶体絶命のピンチをシュートブロックし、チームを救ってみせた。そして言うまでもないが、11分、41分、89分と3度の決定機を阻止した守田のビッグセーブがなければ山雅は昨季同様に黒星スタートを余儀なくされていたかもしれない。「GKがしっかりすると当然DFラインもしっかりすることになる」と反町監督も言うように、今年も守備陣の粘りには期待できる試合だった。

新システム インサイドハーフが鍵握る

もう1つ挙げておきたいのが、システムについてだ。先程「NEW山雅」と書いたが、今季の山雅は選手の並びを変え、キャンプから一貫して熟成を図ってきた。この点についても簡単に解説をしておきたいと思う。

反町監督が就任して以降の6年間、試合状況によって変えることはあったが、基本的には3−4−2−1を採用してきた山雅。だが今年は3−1−4−2にトライしていた。このシステムは後ろの3枚と左右のウイングバックは従来と大きくは変わらないが、中盤より前の構成が大きく違う。この試合で言えば高崎と永井が前線に2人並び、MFはアンカーと呼ばれるポジションに藤田、インサイドハーフにパウリーニョと前田直を配置する逆三角形。この5人の並びが変わっている。

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どのシステムも一長一短で、メリットもデメリットも当然あるものだ。その中で一番わかりやすく大きな指標になってくるのは、「インサイドハーフがどのように攻守に関わるか」だと思っている。この試合で言えば、パウリーニョと前田直が2トップの近くで攻撃に多く関わることができていれば、左右サイドも含めて人数をかけて分厚く攻めを繰り出していい時間帯をつくれる。守備時はシステム上、藤田の横のスペースを狙われやすくなってしまうため、素早く帰陣して危険なエリアを埋める必要がある。

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このシステムにおいてインサイドハーフは守備で危険な場面を抑えつつ、攻撃にも深く関与することが求められる。ゲームをつくり、時には2トップを追い越して自ら得点を奪いにいかなくてはならない。攻守にとても大きな役割がある2人を中心に、僕は試合を見ていた。

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37分、ショートカウンターで数的有利に

その中で37分、この陣形の良さが出たシーンがあった。中盤でのルーズボールが一度は相手に渡ってしまうが、永井が素早いプレスバックでプレッシャーをかけ、パウリーニョがすぐに挟み込んでボールを奪取。すぐ左サイドに開いた高崎へ預けるとその瞬間、前田直、永井、パウリーニョ、そして両サイドの田中と下川もスプリントを開始して、完全な数的優位をつくり出した。高崎から永井にボールが渡り、サポートに入ったパウリーニョがフリーでシュートを放つ。ゴールとはならなかったが、今年の山雅このシステムのメリットである人数をかけた攻めが生んだ決定機と言える。

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このように2トップとインサイドハーフが絡んで多くのチャンスをつくりたかったはずだが、試合を通じてそうはならなかった。それはなぜか。永井の試合後コメントにその答えが垣間見える。

「攻撃の厚みがなかったし単調だったので、相手DFからすれば入ってくるボールを狙うだけでよかったのでそんなに難しい守りをせずに済んだ。2人で惑わせるように連動して動いたりしっかり収めてシャドーボランチ(インサイドハーフ)も絡み合ってワイドも使って、という厚みのある攻撃をしないと上位にいけない」

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攻撃面では前線2人がタメをつくることができればインサイドハーフも関わることができ、必然的にチャンスも生まれやすくなる。しかしこの試合では永井が言う通り、やや単調だった感は否めない。単純に入ってくるボールを収めようとしても基本的にはDFが優位。チームとして永井、高崎にどのようにボールを収めさせるかは、次節以降に向けての課題と言えるかもしれない。

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しかし全体としては、昨季は開幕戦特有の硬さもあって力を出し切れなかった印象が強かったものの、今回は戦う姿勢を表現できていたように感じた。勝つことはできなかったが、プレッシャーがある中、次節、そして長いシーズンに繋げていくために大事な勝ち点1を手にした開幕戦だった。

構成/大枝 令

飯尾和也

文章:コラソン 飯尾 和也

元 松本山雅FC センターバック。
ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、横浜FCなどでのプレーを経て、2011年 松本山雅FCへ加入。松本山雅FCのJFL→J2→J1昇格へ貢献し、2014年シーズン終了後引退。 現在はメンタルサロン コラソンの代表を務める傍ら、講演会等も行っている。
Jリーグ通算311試合出場
U-16、U-18、U-19日本代表

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